少し間があいてしまいましたが、今回からは文法ともうすこし突っ込んだ文字の読み方です。英語で言う第1文型、第2文型の基本的な形の例を読んでみましょう。
日本語 |
ここに マンゴーが ある。 | そこに 水牛が いる。 |
ヒンディー |
यहाँ अाम है । |
वहाँ भैंस है । |
発音 |
yahā̃ ām hai. | vahā̃ bains hai. |
①ここ(に)यहाँ/②マンゴー(が)अाम/③あるहै 。日本語と語順が似ていますね。英語で言う「①ここに/そこに」という副詞の付いた第1文型「②S+③V」です。
③の「है」は「ある」という存在を表す動詞(コピュラ動詞)。②の主語を入れ替えればいくらでも文を作れそうですね。
日本語 |
これは スイカ です。 | それは メンドリ です。 |
ヒンディー |
यह तरबूज़ है । |
वह मुरगी है । |
発音 |
yĕ tarbūz hai. | bŏ murgī hai. |
今度は「これは○○です」という文です。①これ(は)यह/②牛乳दूध/③ですहै。これも日本語と語順が同じです。英語で言うところの第2文型「①S+③V+②O」ですね。
発音に注意しましょう。
注意1)単語の語末に母音記号がない時は母音を発音しない。
例文の最初に出てくる「マンゴー/अाम」ですが字面通りだと「āma/アーマ」と発音しそうですが 注意1)のルールに則り「ām/アーム」と読みます。同様に「水牛/भैंस」も「bains/バエンス(バエンサ=誤)」と読みます。
注意2)4文字の単語、または3文字の単語かつ語末が長母音/二重母音、の2文字目に母音記号がない時は母音を読まない。
4文字の単語で2文字目に母音記号がない時は自動的に母音記号を読みません。例文中の「スイカ/तरबूज़」は「タラブーザ/tarabūza」ではなく、「タルブーズ/tarbūz」と読む。「メンドリ/मुरगी」は3文字単語で語末が「 ी/ī」と超母音なので「ムルギー/murgī」と読む。インド料理屋でおつまみとしてよく出される「पापड़」は語末に長母音がないので「pāpaṛ/パーパル」となる(語末の母音は読まない)。
例外として「नमस्कार/namaskār/ナマスカール」「कृपया/kripayā/クリパヤー」などは慣習的であったり子音が3つ以上並ぶのをきらったり等の理由で読まないはずの母音を読みます。
規則3)代名詞のयह वहは特別な読み方をする。
これ、それを表すयह वहは、それぞれyah wahと読みそうだけど慣習的に「yĕ/bŏ」よ読む。ここでは出ていないですが複数形の「これら/それら」を表す「ये/वे」は慣習的に「yĕ/vĕ(またはbĕ)」と読む。
やや、やっかいなルールですが慣れるしかないと思います。日本語だってパ行とバ行の前の「ん」は「m」と読み、それ以外は「n」と読む、なんて無意識の独自ルールがあるんですから。ヒンディー話者も意識しないで読んでいるんでしょう。きっと。
(西村淳一)