あなたがいてこそ Maryada Ramanna
今回、インド映画として断然イチオシするのは「あなたがいてこそ」。ポスターや予告編を見るとラブロマンスに見えますが、この映画を観たあとの私の印象としてはコテコテのコメディです。笑いすぎて涙が出た程。
親の代の恨み辛みで復讐の標的になってしまったお調子者の主人公ラームがそのピンチをどう切り抜けるか、という物語。人情エピソードや恋の三角関係を混ぜつつ、基本はドキドキハラハラのジェットコースターコメディ。家から逃げたいのに家から出たくないジレンマが抱腹絶倒を呼びます。曲も秀逸で挿入歌「テルグの娘」は物語の流れの中で聞くとなんだかもう感動的でジーンとなってしまいます。お約束の踊りもキレキレで楽しい!
よくよく考えるとインド映画らしい都合の良すぎるストーリーなのですが「面白ければ都合などどうでもいい」と思わせる「面白絶対力」があります。くどいアクションも少ないし、こういった映画はインド映画初心者にお勧めできる代表ですよね。大ヒットを切望します!
インド映画だけどボリウッドではない
「ボリウッド」という単語が話題になっていますが、インド映画=ボリウッド、と思っていませんか? ボリウッドとは「ボンベイ(今のムンバイ)」と「ハリウッド」を合わせた造語で、その言葉通り、ボンベイ(ムンバイ)で作られたヒンディー語の映画のことです。たとえばインド映画を一躍有名にした「ムトゥ 踊るマハラジャ」はタミル語圏の映画でボリウッドではありません。
「あなたがいてこそ」は、ボリウッドでもタミルでもない「テルグ語映画」。インドの南東部の言語エリアの映画です。歌、踊り、オジさんヒーロー美女ヒロイン、強引なストーリー、アクション……といった要素は他のインド映画といっしょですが、比べるとテルグらしい特徴もあります。
ボリウッドは都会の話が多く、比べるとタミルやテルグの映画は自然豊かなほのぼの背景が多いですし、主人公のヒゲ率高いです(笑)。ボリウッドダンスは伝統古典舞踊やモダンダンス、ミュージカルのエッセンスを取り入れた大きな振り付けで優雅に踊る印象ですが、今のテルグの流行りは手足を振ってコミカルな振り付けの群衆ダンス。その動きは手足の素速いマイケル・ジャクソンが群舞している印象です。
コレからも注目してください! テルグ語映画。
▶『あなたがいてこそ』公式サイト
東京ではシネマート六本木で上映中!!(2014/8/23まで!急いで!)
10/25より横浜シネマ・ジャック&ベティで上映開始
(西村淳一)