チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~/Channai Express
インド歴代2位の興行収入のふれこみで日本上陸を果たした映画「チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~」。西インド代表のボリウッドが描く南インドの物語。
物語はムンバイから始まります。御菓子屋のチャラい跡取り(シャー・ルク・カーン)が死んだ祖父の遺言にそって遺灰を南インドに持って行くのを発端に、その途中で出会う美女(ディーピカー・パードゥコーン)に巻き込まれる騒動を描いたラブコメディ。随所に“タライワ(ボスの意)”ラジニカーント(「ムトゥ 踊るマハラジャ」の主人公)を持ち上げて、南インドへの敬意満載です。
彼女を見るためにこの映画を観てもよい! ひとたび振り向くと都会の洗練されたモデルの美しさ。ひとたび微笑むとすぐそばにいそうな純朴な自然味溢れる女性。ひとたび踊れば頭の上から足の先まで目を離せない華やかな立ち振る舞い。この映画ではジムキャリーもびっくりの顔芸も披露してくれました、必見。美しい劇中歌のため息のような歌声をバックに彼女の横顔を見るとこちらもため息が出てしまいます。彼女の幅の広さにただただ敬服。
映画は大都会ムンバイから始まりほとんどの舞台は南インドです。ムンバイから見た南インドの印象ってこんな感じなんでしょうね。圧倒される巨大な大自然。ただ雄大な自然造形だけではなく、そこに抵抗するようにたたずむ建築物の対比がとても美しい。そして、ひたすらに色彩あふれる町並み。お寺がまず極彩色だし、屋台も牛も(!)極彩色。極彩色の町並みで繰り広げられる大騒動に注目! 灰色の都会との対比なんでしょうねー。
男女の偶然の出会い→偽りのカップル→ヒロインが気づく恋心→遅れて気づくダメ男→怖い父の取り巻きと決闘→結婚。すばらしき様式美。
南アジアの古典舞踊がたくさん出て来たり、大勢のダンサーがちょこまか飛び跳ねる高速コミカルダンスもタミル様式で、南インドへのリスペクトを感じます。
と、様式づくしで、大きな目新しいことがない映画なのですが、何度も作られた王道映画の最新作だけあって歌、ダンス、コメディもストーリーも洗練された一級品。気軽に見たら大満足できる映画だと思います。(個人的には「恋する輪廻 オーム〜」より面白いと思いました!)
お決まりのカーチェイス、格闘シーンはもうちょっと短くして、歌と踊りをもう一つ入れて欲しかったなー。とも思いましたが、インド映画ファンとしてはそれらもなくてはならない要素なんでしょう! そう、いつも通りでいいんです。こんな楽しい映画をまたたくさん見られると思うと、次のインド映画も期待しちゃうんですよね!
▶ボリウッドフェスティバル2014で、上映中 公式サイト
インド/2013/141分
なんと、2014年 10/28、10/30のレイトショーのみ! 急げ!
(西村淳一)