11th Dec

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11月24日 「お寺で丸ごとインド音楽!」~「Priyal Satheさん また来てね!」企画 レポート

 
池上の本門寺本妙院にて北インド古典声楽家プリヤル・サテさんによる音楽イベントが行われました。声楽ワークショップ/音楽講座/ライブの贅沢3部構成です。2部の音楽講座と3部のライブに参加してきました!

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インドの音楽やインド料理が大好きなご住職のご好意で東京は池上の本門寺本妙院の本堂を会場にインド音楽イベントが開催されました

第2部の音楽講座は声楽家サテさんの実演と講義。サテさんの歌う声楽は即興の独唱です。まずはタンプーラという弦楽器の音にのせて「ラーガ」のシンプルな即興実演をしてくれました。この「ラーガ」という考え方はインド音楽独特のものでとても興味を引きます。即興をする時の厳密な規則で、音程の上げ下げ等の即興時のきまりなのだそうです。サテさんがすごく単純な音階の上り下がりを実演してくれました。う〜ん、それだけでインドっぽい! ラーガは雰囲気やテーマ別に種類があり、多くは歌える時間帯や季節などが区別されているそうです。

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左より/今回の主役のプリヤル・サテさん。日本語がペラペラのインド古典声楽家。インド音楽の装飾技法と演歌等の「コブシ」の比較を研究していました。/今回のイベントの主催者、「まちかど倶楽部」の井生明さん。ロシア語翻訳家、写真家でもありますが、南インドの文化や音楽に造詣が深く、その魅力の発信に尽力しています。/音楽講座は実演と講義をするサテさんを囲むように進められました。

次にタブラのリズムを加えた実演と講義です。タブラが加わるとメロディを1小節ごとに区切る規則が加わります。基本の7拍子を例にした実演では、ゆっくりとした7拍ごとのメロディが次々と巡り、聞く方もゆっくりと心地良い気分にさせてくれます。また、拍子がゆっくりなのに対してタブラが動きが速く、長い拍と流れる歌声と小刻みなタブラのコントラストがとても美しいです。なによりサテさんの歌うメロディや声の動きがぐぐっとお寺の本堂の空気をインドに変えてしまいます。

講座ではラーガの正しい例と間違った例の比較も披露していただきましたがほとんどの受講者が気づけないくらい微妙でした(通ならすぐわかるそうです)。インド声楽の美しさや雰囲気はそういった細密な規則があるからこそ成立しているのだと気づかされます。そんな厳密なラーガの初期の基礎習得は何年もひたすら師匠の真似をするだけ。その時期は質問禁止(!)だそうです。楽譜や文献は存在せず師匠の真似と師匠からの口伝だけで習得します。
たくさんの厳密な規則を、真似と慣れで習得するというのはなんとなく言語の言い方や文法の習得のようで、「ラーガ」と「言葉」の共通点がありそうな予感を感じた講義でした。

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左/1stステージのサロードライブ。サロードは1本の木をくりぬいて作る弦楽器。シタールよりはっきりとした伸びのある音が特徴。右/黄色い衣装に着替えサテさんの登場。

第3部はお待ちかねインド音楽ライブ。まずはタブラとサロードの演奏からスタート。サロードが鐘のように響く高い音で打楽器のようにリズムをつくっていたのが印象的です。後半にサテさんが登場。小節の頭の拍を手振りで示しながら歌ってくれたので、メロディが1小節ごとに巡るのがよくわかります。ゆったりとした1小節ごとの彼女の言葉のような「ラーガ」が、私の身体に回って巡るようでした。

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「神秘的」という言葉がぴったりなライブ空間。本妙院本堂の敬虔な雰囲気と北インド声楽が奏で出す神妙な空気は絶品。

今回の参加でインド音楽の感じ方ががらっと変わりました。こういった参加型のイベントがどんどん発掘したいです!

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タブラは毎年コルカタでタブラの研鑽を積む池田絢子(いけだあやこ)さん。サロードはやはりコルカタで長年の修業を重ねた平川麦(ひらかわばく)さん。イベントの合間には「ねぎし商店」のチャイやカレーで一息つかせてもらいました!

主催者の「まちかど倶楽部」はマサラワーラーと共同で南インドの魅力を伝える本「南インドカルチャー見聞録」を今年上梓しました。こちらも是非!
▶ナンバルワンでも紹介しています!